株主優待の魅力と注意点

投資・株主優待

長引くコロナ渦、株式投資を始める方が増えているようです。

数十年前までは富裕層だけにしか機会がないと思われた株式投資。

しかし現在はネット証券が増え、若い人でも始めやすい環境となりました。そんな中、株主優待のある銘柄に興味のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。配当金も受け取れ、プレゼント感覚で受け取れる優待は魅力的です。株式優待だけで生活する有名な投資家もいらっしゃいます。サイト管理者自身も種類は少ないですが、毎年優待の商品をいただいています。でも、忘れてはならないのは株主優待はあくまでも株式投資の一部であることです。ここではその魅力と注意点をご案内いたします。

そもそも株主優待とは?

株主優待とは上場企業の株主が受け取れる企業からのプレゼントです。

そもそも株を買うのはあくまで「投資」行為です。株は会社の経営のために存在する資金であり、株を買えばその経営者の一員となります。そのため、株主になれば株保有分の下記の権利が手に入ります。

  • 配当金
  • 経営権(株主総会の議決権)

この他に企業により設けられているのが株式優待制度。優待は日本だけの制度で近年注目される米国株などの海外株式にはありません。

多くの上場企業がある中、「もっと自社の投資家を集めたい!」「資金を自社に出してくれる人を呼び込みたい!」という思いで企業が取り入れるのが株主優待制度。

優待の内容は下記の通りさまざまです。

  • 企業の自社製品(一定の金額範囲内)
  • 自社施設の割引券
  • 企業の工場見学会
  • 商品券
  • カタログギフト
  • 寄付

知っている有名企業の商品が手に入る、となると親近感が湧きますよね。

ただし、株主優待はどの企業もある制度ではありません。後に触れますが、廃止されることもあります。では優待のメリットとデメリットを説明します。

株主優待のメリット

投資すればするほど貰える

さて、魅力はプレゼント感覚で受け取れることです。

そして長く株を持つこと、多く株数を買うとメリットが大きいです。

なぜなら、株数や保有年数が多いと受け取れるボリュームも増える銘柄があるからです。

当ブログ管理者は味の素の株(100株※1年間保有)を持っています。

2021年の内容は下記いづれかの選択でした。

  • 味の素製品詰め合わせセット (1,500円分)
  • 寄付

このメーカーが好きなので、昨年は迷わず商品セットを選んでおります。

ちなみに株数、保有年数によりセットの内容が変わります。

【6ヶ月以上保有】

100株〜500 株未満保有 →1,500円分セット or 寄付

500株〜1,000株未満保有→3,000円分セット or 寄付

1,000株〜保有→4,000円分セット or 寄付

【3年以上保有】

1,000株〜保有→6種類の商品セットのいづれか or 寄付

保有し続ければ、多く株数を保有すれば、その分多くもらえるということです。

ちなみに届いた優待の箱はキャラクターのパンダイラストつきで可愛いかったです。

自分の好きなメーカーやブランドの企業を投資で応援しつつ、商品を受け取れるのは嬉しいです。

(参照;【公式】味の素株式会社(株主優待制度)

2種類の優待があることも

前述したように、優待の内容はさまざまあり、2種類以上の優待がゲットできる株もあります。

例えばオリックス(100株保有※2021年3月時点)はカタログギフトと自社グループのホテル宿泊割引、野球観戦優待そして自社レンタカーの割引優待と下記の通りで、株主優待カード保有でできる種類が豊富です。

  • カタログギフト(ふるさと優待 Bコース)
  • 株主カード
    1. 旅館・ホテルの割引
    2. 水族館入場割引
    3. 野球観戦優待
    4. オリックス自動車;個人向けカーリースでナビゲーションプレゼント
    5. オリックス自動車;レンタカー割引
    6. オリックス自動車;カーシェアリング優待
    7. オリックス自動車;中古車購入時表示価格より3万円(税込)OFF
    8. 自社提携の医療機関向け業務支援サービス会社での人間ドックを優待価格にて提供

すべては利用しておりませんが、カタログギフトでは家電やグルメ食材などが選べ、昨年はチルドのパスタを選んで家族で楽しみました。

カードに関しては期限があり、2022年7月末までが有効期限です。

(参照;【公式】ORIX /株主優待について

株主優待のデメリット

デメリットとしては下記の3点です。

良い株という訳ではない

株主優待は魅力ですが、企業自体の経営が必ずしも順調とは限りません。

例えば空輸・鉄道関連の企業は2020年以降、コロナウィルスの影響で業績でマイナス面の報道が多くありましたが、それでも優待制度は継続いました。

有名ですが、JALは自社グループ国内定期航空路線の割引券と旅行商品割引券を発行し、ANAも自社国内線搭乗の割引と自社グループの提携ホテルの優待券を発行しています(※2022年3月末現在)。

(参照;【公式】JAL AIRLINE /株主優待のご案内・【公式】ANA /株主優待のご案内

一方、配当に関しては業績の悪化のためJALは2021年、2022年は無し(無配)。ANAはANAは2020年、2021年が無配でした。航空株はどちらかと言えば、優待目的で購入する方が多いため、優待だけは株主に還元したと言えるでしょう。

(参照;【公式】JAL AIRLINE/配当情報・【公式】ANA /配当・株主優待情報

株主優待自体がなくなることもある

株主優待は現在は制度として設けている企業があっても、将来、なくなることもあります。例えば、企業の倒産、合併、上場廃止または方針の変更です。企業自体がなくなったり、変わるため当然です。

また、「最近は優待はいらない!」「配当金に公平に還元して欲しい!」という投資家からの声があり、制度を廃止する企業が増えているようです。

JT(日本たばこ産業)も2004年から実施していましたが、2023年の発送で最後にすることを2022 年 2 月 14 日付に発表しています。この企業も配当金による公平的な利益還元を目的とし、廃止しています。

(参照;【公式】プレスリリース:JT ウェブサイト)

また、他に有名な企業ですと、2022 年2月 28 日付にシダックス、2022 年 3 月 14 日付に東プレも優待廃止の発表をしています。優待をもらうより、お金をもらった方が確かに用途は広がりますから、納得はできます。

(参照;【公式】SHIDAX /IR情報・【公式】東プレ株式会社/IR情報

株は安い買い物ではない

優待取得のために必要な金額は数10万円、なかには100万円単位かかる株式もあります。金額はその時買った価格にもよります。

前述したように100株、200株と株には単位があります。株式取引所で株は単元株で売買されています。単元株は企業により異なり、100株単位で行われたり、1株または1,000株単位で行われます。大半の優待はこの単元株以上を持った株主でないと取得できません。

例えば、前述した味の素は2022年3月1日は3,331円で取引を終了しています。この終値で買う場合を計算してみましょう。

優待が欲しい場合、この企業の場合、最低100株の保有が条件です。3,331円は1株の金額のためこの条件を満たすには

3,331円×100株=333,100円

333,100円必要です。

かつ、証券会社でわたしたちは株を買うので、証券会社へ仲介した代金として手数料を別途払わなくてはなりません。決して株式購入は安い買い物ではありません。

また、中には100株単位が売買単位なのに、優待は500株以上保有でないと受け取れない銘柄もあります。

もし株を買いたい!と思ったら・・・

さて、メリットとデメリットを見てきました。

筆者はデメリットも記載しましたが優待メインで株式投資をすることには反対ではありません。では株を買う前の注意点を見ていきましょう

ちゃんと情報を収集しよう

ただ、どの企業は必ずしも未来永劫に経営順調というわけではありません。せっかく投資したのに優待が貰えない、また、株式の価値がゼロになることは避けたいです。

まずはそのために情報入手が必要です。

やはり、日経新聞などの経済ニュース株式情報サイトで情報入手することも必須です。

しかし、個々の株に関し、情報が確かなのは

各企業のIR情報です。

このIR情報を見れば、優待の取得条件、決算内容が記載されています。企業により、動画を添付したり、経営計画書の資料を図解でわかりやすく記載されていることがあります。

気になる企業があれば「○○(企業名) IR」と検索するとIR情報に辿り着きますので確認してみましょう。

証券口座の開設について

株は証券口座がないと買えません。必ず証券会社で口座開設の手続きも忘れずに行いましょう。

その際、注意したいのが証券会社。現在ネット証券が多くなりましたが証券会社によって、取引画面が異なりますし、手数料も異なります。

株式取引初心者でWeb操作が不安な場合はサイトでデモ取引画面がある会社もありますので、そちらを確認し、取引しやすい証券会社で解説しましょう。

権利付最終日

株式優待を手に入れるため気をつけたいのが権利付最終日

権利付最終日はいわゆる株主として権利を受け取れる最後の売買日です。この日までに株を保有すると企業の株主名簿に載ります。

この日までに株式を、しかも優待取得条件の株数以上買っておかないと、優待は受け取れません。

企業の決算期によって日にちは異なりますが、たいてい3月期決算期の企業ですと3月末日を権利確定日とし、その日を含んだ3営業日前が権利付最終日となります。

2022年のカレンダーで見ると3月は3月29日(火)が権利付最終日でした。

なお、この翌営業日3月30日(水)は売ってしまっても株主としての権利は取れる権利落日です。29日に持って、この日は売っても配当金、優待は手に入れることができます。

企業、業種によって権利付最終日、権利確定日は違います。例えば飲食店は2月、ビールメーカーは12月が権利確定日となることが多いです。きちんとIR情報などで権利付最終日はチェックしましょう。

本当に好きな会社に投資しよう

株主優待は企業が投資家へのお礼のひとつです。

還元されるものとして、ありがたく受け取りたいものですが、株式購入はあくまで「投資」であり、自分も運営する一員となることとなります。

せっかくまとまったお金で大きな買い物をするわけですから、投資をする前に、情報を調べ、自分が応援したい企業か、魅力に感じる企業かよく考えてみましょう。

金融機関や金融商品のCMで「投資は自己責任で」とよくいわれます。自分でしっかり考え、投資は行っていきましょう。

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